アメリカ海軍飛行船部隊(その2)

N級飛行船

 ところで、第二次世界大戦後もアメリカ海軍は飛行船部隊を運用していた。新型のレーダー、ディッピングソナーなどの新たな装備に加え、滞空時間の延長も求められたため、より大型のN型が建造されることになった。
 1951年にN-1が進空、引き続き4隻の改良型が進空する。名称変更のごたごたがあって、これらはZPG-2と呼ばれることになる。

 ここで、飛行船に新たな任務を与えようという動きがあった。1955年のことである。

 改修を受けたZPG-2Wは、気嚢頂部にAN/APS-69、操縦室下部にAN/APS-20、船体内部にAPS-70を搭載し、北アメリカの早期警戒レーダー網、コンティギュオス・バリアーとインショアー・バリアーの間隙を埋める用途に投入された。早期警戒飛行船の誕生である。

 1957年3月、1隻のZPG-2Wが燃料補給なしで飛行距離15,675km、飛行時間264.2時間を達成し、飛行船の滞空記録を樹立した。戦前に世界一周飛行を達成した硬式飛行船LZ127グラーフ・ツェッペリンの無着陸飛行記録は、世界一周途上のフリードリヒスハーフェン-霞ヶ浦間の11,233kmで、これを上回る。

 そして1958年、新型のZPG-3Wが進空する。全長123m/気嚢直径26m/ライトR-1820サイクロン1,575hp2基/最大速度152km/hの性能を誇る史上最大の軟式飛行船であり、この記録も破られていない。

ZPG-3W級飛行船他

 手前からZPG-3W、ZPG-2W、そしてK型。エンジンナセル下の人影と比べると、そのサイズが分かるだろう。搭載しているライトR-1820サイクロンは、B-17のエンジンでもあった。
 ZPG-3Wの気嚢内には、全幅12.8 mのAN/APS-70早期警戒レーダーが搭載されている。

ZPG-3W級飛行船
ZPG-3W(出典:Naval Airship Associationより)

 なお、”重航空機”に同じAN/APS-70を積むとこうなるらしいのであるが、未だ空気より重いものが空を飛ぶということを信じられないのでよく分からない。 >>WV-2E(Wikipedia)

 SAGEシステムの一端を担った早期警戒飛行船の任務も、固定翼機の航続距離・滞空時間の延伸とともに終わりを告げた。アメリカ海軍飛行船部隊が最後の飛行を行ったのは、1962年8月31日のことであった。

画像出典:Kite Balloons to Airships...the Navy's Lighter-than-Air Experience

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 ところがどっこい、飛行船は死しても皮を残していた。1980年、アメリカ森林局が木材搬出用として垂直離着陸機の開発契約をアメリカ海軍と結んだ。"Helistat "と呼ばれる飛行機械に用いられたのは、ZPG-2Wの気嚢だった。
 パイアセッキ PA-97と命名されたハイブリッド飛行船は、4機のヘリコプター(H-34J,シコルスキーS-58の米海軍方)と結合された、世界最大の垂直離陸航空機となった。

 パイアセッキ PA-97 - Wikipedia

 1986年4月26日に初飛行を迎えたものの、7月1日に事故で墜落して死者1名を出し、開発計画は中止された。墜落時の映像が残されている。

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