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ヘッセルマンエンジン―陸軍三式潜航輸送艇と木製大護衛艇(その1)

 かつて、ヘッセルマンエンジンという内燃機関が用いられていた時代があった。スウェーデンのヨナス・ヘッセルマンの発明によるもので、1930年代に自動車用のほか、油田掘削用の動力としても用いられた。三式潜航輸送艇こと「まるゆ」の主機関としても、一部方面で有名であるかもしれない。
 ヘッセルマンエンジンは、ガソリン機関とディーゼル機関を足して二で割ったような性格の機関で、利点としては低質油やガスを燃料とできること、欠点としては点火装置と噴射装置の両者が必要なことが挙げられる。

 まるゆの方面から調べていくと、JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C13120848500、軍管区別兵器 製造設備能力分布状況表 昭和20.5(防衛省防衛研究所)の「舟艇の部」に、まるゆ(ヘッセルマン)発動機月産32台との記載がある。

軍管区別兵器 製造設備能力分布状況表 昭和20.5
舟艇の部,軍管区別兵器 製造設備能力分布状況表 昭和20.5(JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C13120848500より)

 相模陸軍造兵廠15基/月の他、発動機製造(ダイハツ)、大阪金属工業(ダイキン)などの名前があるが、久保田鉄工所(クボタ)が0になっているのは3月の大阪空襲の影響だろうか。

 ダイハツでは、昭和17年春に帝国石油から油田開発用機械の原動機として、ヘッセルマンエンジンを受注したとの記録がある。形式は6EKH、シリンダ径178mm×行程178mm、毎分回転数1,150で200馬力、重量は2,800kgと記されている。
 また、ダイハツにはこのようなものも残っているようだ。

 200馬力ヘッセルマン機関取扱説明書 6EKH-A(産業技術資料データベースより)

 一方、このリストにはないが、新潟鐵工所が陸軍向けに南方油田さく井用として「統一型ヘッセルマン式H6SB形」160馬力(200馬力の記述もあり)を製作したとの記録がある。H6SBの要目を見ると、4サイクル6気筒でシリンダ径178mm×行程178mm、毎分回転数1,000となっている。
 さく井用としては、噴出する天然ガスを燃料に利用できるヘッセルマンの利点が生かせたのだろう。なお、海軍向けのさく井機には115馬力ディーゼルを用いたらしい。

 これらはまるゆ用のヘッセルマンを2基積んだ陸軍の「五式木製大護衛艇(乙)」の主機要目と出力以外は同じで、同一のエンジンと見てよいだろう。

5式木製大護衛艇(乙)取扱法(案)/附表
5式木製大護衛艇(乙)取扱法(案)/附表(JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C14020289300より)

 なお、これら陸軍ヘッセルマンエンジンの原型はアメリカのワーケシャ"Waukesha"社が開発したもので、後にGEに買収されてガスエンジンのブランドとして今に残っている。

 ワーケシャ・ガスエンジン

 また、大護衛艇に積まれたヘッセルマンエンジンの写真が残っている。後に海軍でもヘッセルマンを航空基地の発電用に使用したようだ。

5式木製大護衛艇(乙)取扱法(案)/附図
5式木製大護衛艇(乙)取扱法(案)/附図(JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C14020289400より)

木製大護衛艇2型 写真集
木製大護衛艇2型 写真集(JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C14020289800より)
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