幻となった"Elektroboote"―XXI型Uボート

TypeXXI

 戦後潜水艦の祖とされているXXI型Uボートの機関構成は、ディーゼル・エレクトリック推進ではなく、従来型と同じディーゼル・電動機推進である。
 水中高速型の名に恥じない大出力の電動機と大容量の蓄電池を搭載し、最小の容積と重量で最大の水上航走時の推進力と充電能力を得るべく、主機関には軽量小容積かつ高出力のディーゼル機関が求められた。設計と部品の共通化を考慮して、実績のあるIX型の主機関である過給器付9気筒ディーゼル機関を6気筒に減らして小型化したもの(M6V40/46)が採用された。ただし、IX型より過給圧を上げて、出力は原型となった機関の9割を確保していた。。。少なくとも、額面上は。

 戦後行われた米海軍の調査において、定格1,970HPを発揮する筈のディーゼル機関は、排気の過熱の為に1,700HPまでしか出せず、水上速力は15ノットに留まった。報告書には「原因は不明だが、ほとんどのXXI型から過給器が撤去されている」とあり、排気弁が耐えられない程の排気温度の上昇を抑えるため、過給機と高過給対応のカムを使わない状態で発揮できた出力は850HP、この時の水上速力は12ノットであった。
 これは前線への進出能力だけでなく、充電に1,200HPで4時間を要するとされた蓄電池の充電能力にも悪影響を及ぼすことは想像に難くない。高い損耗率に苦しむUボート乗員達が渇望した新兵器"Elektroboote"は、終戦まで遂にこの問題を根本的に解決できなかったようだ。

 一方、電動機と蓄電池は予定どおり定格を発揮しており、この方面で(も)惨状を呈した伊201型とは対照的だ。
 なお、ドイツのフルカン継手使いたい症候群の発症により、XXI型にも振動吸収の名目で主機の出力軸直後にフルカン継ぎ手が使用されているが、米海軍の調査報告書では「それ、いらなくね?(大意)」との評価を受けている。

 また、戦後引き揚げられて再就役したU-2540こと"Wilhelm Bauer"は、長期間海没していたこともあってか、機関をそっくり入れ替えてディーゼル・エレクトリック化している。

Design Study of Former German Submarine - Type XXI

U-Boot Wilhelm Bauer: Technikmuseum
ヴィルヘルム・バウアー (潜水艦) - Wikipedia
関連記事

コメント

非公開コメント

プロフィール

天翔

Author:天翔

Webサイト天翔艦隊管理人がTwitterでつぶやいたネタを、再構成後に格納しています。

ほとんどチェックしていないので、コメント等への反応は保証できません。。。まあもしそんなものがあれば、の話ですが。

累計:現在:

Twitter
検索フォーム
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
リンク